08/06/10

第63話「ウィーン3日目~ふたたびシュテファン寺院へ」

とりあえずリンクを走るトラムで、
1周周ってみようと乗り込みました。
でも何を思ったのか半周したところで降りてしまいました。
そして向かった先はシュテファン寺院です。

寺院の中に入って特に何をするわけでもありませんが、
とにかくその場にただいたかっただけでした。

私にとってウィーンとザルツブルクは聖地みたいなものです。
ザンクト・マルクス墓地の次に、
ここが来たかったところでもあり、
二百数十年の時を経て、
今私はモーツァルトもここにこうしていたであろうということを
五感以外の感覚で感じていたかったのかもしれません。
前日ゆっくりと見られなかった絵画や、彫刻、
そして祈りのためのろうそくの炎をしずかに見つめていました。

外に出ようとドアを開けたとき、一人の老人の男性が
手のひらを上に向けてふるえながらブツブツなにか呟いています。
私は一瞬でその人が「物乞い」であることを悟りました。
その時だけなんとなく
二百数十年前のモーツァルトが生きていた時代に戻ったような
不思議な感じがしました。

帰りは何度も何度もシュテファン寺院を振り向きながら
『絶対にまたここに来るからね。何度でも来るから・・・』
と心の中でつぶやき、ホーホブルク王宮を通って
地下鉄Karlsplatz駅に向かいました。

地下鉄の車内ではトルコ人っぽい少年たちが、
携帯電話の着メロで民族音楽を大音量で鳴らしていたので、
地元の中年男性に注意されていました。
こういうところが摩擦を生む原因のひとつかもしれませんね。